第39巻第10号                2026/7/1
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DOHC(年間百冊読書する会)MONTHLY

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毎月1日発行 発行責任者 守一雄
(kaz-mori@cc.tuat.ac.jp)
https://kaz-mori.jp/dohc/

 後期高齢者の入口となる75歳の誕生日を迎えた2026年の6月は、人生で一番辛い1ヶ月となりました。先月号で報告したように、5月の27日に結腸癌の手術をし、術後の経過も順調で、予定より1日早く退院できたのでしたが、退院祝いにステーキを食べたりしたのがいけなかったのか、手術とは関係ないはずの胃の調子が悪くなり、何を食べても吐いてしまうようになってしまいました。その後、退院の1週間後に再入院となり、丸々2週間点滴で栄養補給をする入院生活を余儀なくされました。結局、癌の手術からほぼ1ヶ月を空腹と吐き気に苦しめられることになってしまったわけです。

 そんなわけで、手術を控えていても生産的に過ごしていた5月とは打って変わって、本も読めず、何も生産しない無為の1ヶ月を過ごしました。体重も7kg減って、61kg台になりました。

 それでも今は入院中でもインターネットが使えるので、ワールドカップのグループリーグの3試合は病院のベッドで楽しみました。病院では夜9時が消灯時間となっていますが、朝の早起きには制限がないようで、6月15日のオランダ戦は入院患者の多くが朝5時からサッカーを見ていたようです。看護師さんたちも気づいていて「今日は皆さん、朝早起きで」とか言ってました(笑)。 (守 一雄)


(c)太田出版
 

【これは絶対面白い】

鶴見済『死ぬまで落ち着かない』

太田出版 (¥1,760)

 結局、この1ヶ月で1冊しか本が読めなかったので、大慌てで選んだ一冊だが、さっと読めて面白かった。「鶴見済」という著者名には見覚えがあったが、やはり『完全自殺マニュアル』『人格改造マニュアル』の鶴見氏だった。(このDOHC月報では人格改造…』を1998年12月号で紹介した。)

 副題に「六十年生きてみてわかった人生のこと」とあるように、あの鶴見氏も60歳になっていたのだ。『完全自殺…』や『人格改造…』のように尖った本ではなく、歳をとってそれなりに穏やかになった鶴見氏の人生論である。

 「人生後半の生き方」「長い目で見たメンタル」「死」と名付けられた3章からなり、それぞれ鶴見氏の考えが短く10-12項目書かれている。第1章で気に入った考えは「ひとつの選択で人生は決まらない」というものだ。「あのときこっちを選んでおけば」とか後から考えたりするが、人生でのたくさんの選択は分岐点であるようでいて、山道のようにどちらを選んでもまた合流したりするものなのだ。

 第2章で面白かったのは「運動神経は学校を出たら役に立たない」という主張。確かに、運動神経が良くてスポーツが得意だったやつがモテたりしたのは学校生活だけで、卒業してからは運動音痴でも何も問題がなかった。ただ、運動は競うものではなく、自分の健康のために極めて大事であることは入院中にも実感した。

 第3章では「死は45歳から始まっている」という指摘が面白いと思った。確かに45歳くらいを頂点に、成長が止まり、逆にできないことが増えてくる。改めて考えてみれば当然のことだが、老化とは少しずつ死んでいくことなのだ。『完全自殺…』のような過激な本を書いていた鶴見氏が60歳になってこんなにも穏やかな考えに至ったことに驚きつつ、楽しく読んだ。(守 一雄)

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