R.L.パーク
『わたしたちは
なぜ科学にだまされるのか』
主婦の友社
学
生:先生、考えてみると映
画の『二〇〇一年宇宙の旅』
って今年のことなんですね。
ロシアの宇宙船で宇宙旅行
したアメリカの大富豪もいた
し、今世紀中には火星あた
りまで宇宙旅行ができるよう
になるんでしょうね。
教授:わはは、君もニセ科学
にだまされているな。「宇宙の
旅」などというのは、いかにも
科学的なようでいてそうでない
ものの典型だ。この本によれ
ば、宇宙旅行の第一歩として
進められている〈国際宇宙ス
テーション〉計画は、実は各国
の科学者から嘲笑の的なんだ
ってさ。
学
生:えっ、でも、その計画っ
て、日本も参加しているんで
しょ。そのどこがいけないん
ですかあ。
教授:
月に人類を送り込んだ
アポロ計画以後、科学者たち
は宇宙におけるいかなる仕事
も、人間がやるよりもロボット
にやらせる方が効果的である
ことを知ったんだ。それに宇
宙空間が生身の人間には長
時間耐えられないこともわか
った。「宇宙旅行」と言ったっ
て、アメリカの大富豪が遊び
に行ったのは地球からわずか
数百キロだ。その遙か四万キ
ロも先でいくつもの通信衛星が、
人間数百万人分もの仕事をし
ているんだぜ。
学
生:でも、宇宙旅行には夢
があるし、夢は科学の進歩の
原動力だと思うんですけど。
教授:
夢ならなんでもいいとい
うわけではない。間違った夢は
科学の進歩をかえって妨げる。
そしてニセ科学をはびこらせる。
たとえば、「永久機関」をいくら
夢見ても科学の発展にはつな
がらない。宇宙旅行もそうだ。
学
生:じゃ、どうして〈国際宇宙
ステーション〉計画とかもなくな
らないんですか?
教授:政治家もニセ科学にだま
されやすいんだ。この本の著者
のパーク博士は、アメリカ物理
学会のワシントン事務局長で、
学会の代表としてアメリカ政府
がニセ科学にだまされないよう
目を光らせているんだ。それでも、
人気取りのためや、宇宙産業の
利権のために宇宙開発は続けら
れているのさ。
学
生:なんか、巨大ダム開発と
かにも似てますね。
教授:そう、だから、政治家がニ
セ科学にだまされないようにする
ためには、私たち国民もだまされ
ないようにしないとダメだ。パーク
博士もそう考えて、いろいろなニ
セ科学を暴く記事を新聞のコラ
ムに書いてきた。この本は、そ
れをわかりやすくまとめたものな
のさ。すっごく面白いよ。
(守 一雄)