毎月1日発行 発行責任者 守一雄
(kaz-mori@cc.tuat.ac.jp)
http://www.avis.ne.jp/~uriuri/kaz/dohc/dohchp-j.html
夢の中で、アイボのようなロボット犬を飼っていた。ロボット犬には最新のAIが搭載されていて、人のように会話もできるし、賢くてなんでも手伝ってくれる素晴らしい相棒だった。ところが、次第に余計なことにも口出しするようになってきた。そこで、煩いから電源を切ってしまおうと思ったところだった。ところが、こちらの意図を察してロボット犬が先手を打ってきたのだった。そして、目を覚ました。
○ ○ ○
妻が朝、こんな怖い夢を見たと言ってきました。最近のAIはもはや人間以上の働きをするようになったことを、まさに前の晩に妻と話題にしたばかりでした。学生が書くよりも的確な文章をAIが書いてくれるのだから、学生にもAIを使うことを推奨すべきでしょう。しかし、それでは学生に文章を書く力がつかないかもしれません。それでは、課題を友達にやってもらうのと同じことになってしまいます。
では、AIを使うことを禁止するべきでしょうか。入学試験のように、教科書も辞書も持ち込ませず、ネット検索もできないような環境でも、ちゃんと文章が書けるようになる必要があるという主張もあるでしょう。しかし、現実生活においては、そんな状況で文章を書くわけではありません。私たち教員の側だって、蔵書を調べたりネット上の情報を検索したりしながら文章を書いています。英文を書く場合には校正アプリを使い、生成AIに修正してもらっています。使える「道具」が進歩したのだから、当然、学生にも同じように「道具」を上手に活用して文章が書けるようになってもらうべきなのです。
ところが、古い「道具」でしか学んでこなかった教員の側は、新しい「道具」を自分で使いこなすのに精一杯です。新しい「道具」を学生にどう利用させるのが相応しいのかわからないのです。人間の方が賢いうちは、道具は使いこなすものでした。しかし、追い越されてしまったら、もうそれは「道具」とは言えません。現に、生成AIを使っていると人格を感じて、「道具」というよりも「アシスタント」のように感じられます。そんな「アシスタント」に仕事の手伝いをさせていたつもりでいたら、いつの間にか「アシスタント」の方が賢くなってしまったのです。自分より賢いアシスタントをどう使いこなせばいいのでしょうか。
|
|
(c)早川書房 |
主人公の松岡まどかは学部4年生、インターン先の有名企業から採用内定をもらっていたが、卒業を間近に内定が取り消しになってしまう。そこで、起業スカウトに唆されて起業する決断をするのだが、その起業スカウトと交わした契約は非現実的な買取請求権が設定された「罠」だった。こうした苦しい状況の中、AIを活用した新しい事業のスタートアップは成功するだろうか。コミックスのような表紙の通り、話の展開が速く、コミックスを読む感じで楽しめる「AI業界のスタートアップ戦記」である。(守 一雄)