dohc2507

第38巻第10号                2025/7/1
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DOHC(年間百冊読書する会)MONTHLY

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毎月1日発行 発行責任者 守一雄
(kaz-mori@cc.tuat.ac.jp)
http://www.avis.ne.jp/~uriuri/kaz/dohc/dohchp-j.html


 第27回参議院選挙が公示されました。中学校の頃でしたか、衆議院と参議院の違いについて教えられました。予算案決議での衆院の優先権や、被選挙権が25歳と30歳である違い、解散の有る無し、などがもっともらしい理由をつけて説明されましたが、テストに向けて覚えただけでした。大人になってから考えたら、参議院は単なる既得権保持の仕組みの名残りだったことに気づきました。江戸時代までの貴族や上級武士階級をそれなりに処遇するために、明治憲法では貴族院を作り終身の議員特権を与えていました。それが終戦後の現行憲法でも参議院として残り、既得権保持に当てられたと考えれば納得がいきます。もう戦後も80年になり、既得権者への処遇の役割も終え、参議院はほとんど不要な機関になりました。ただ、かつての貴族院ほど「あからさまな特権」はなくとも、新たに生じた既得権もそう簡単には手放されないでしょうから、参議院議員という「現代の貴族」制度は維持されていくでしょう。(守 一雄)

【これは絶対面白い】

立花孝志
『諸派党構想』

日本橋出版 (¥1,430)

(c)日本橋出版
 
   去年 (2024年) 11月の兵庫県知事選挙に「当選を目指さない候補」として立候補するという驚きの戦略で参戦し、組織票を持った既成政党やそれを支持するマスメディアをすっかり翻弄して、不可解な形で辞職に追い込まれた前知事の劇的な当選劇を実現させた立花氏。その前から「NHKをぶっ壊す」という過激なキャッチフレーズで知られていたが、この選挙までは、マック赤坂氏やドクター中松氏のような「売名選挙マニア」の一人だろうと思っていた。NHK絡みで党名もしょっちゅう変更し、「ホリエモン新党」や「政治家女子48党」にまでしたときには、流石におふざけが過ぎると思った。去年7月の都知事選では19名もの公認候補者を立て、ポスター掲示板の使用権を売るという暴挙とも言える斬新なアイディアも披露していた。この時点までは、「面白いことを試みるけど、ちょっとヘンな人」という認識だった。

 しかし、その後の兵庫県知事選で、立花氏をすっかり見直すことになった。兵庫知事選では、YouTubeなどで選挙運動の様子が見られるので、立花氏が真っ当な主張をしていることがよくわかった。すっかりファンになり、翌年の参議院選挙ではNHK党に投票しようと思った。

 そこで、今回の参院選を機に立花氏についてのまとまった知識を仕入れたいと考えて著書を探してみたが、一番新しいものが本書だった。高卒ながらNHKで中枢の業務に関わり「独裁者エビ・ジョンイル」と呼ばれた海老沢勝二氏の側近まで上り詰めたという経歴や、その後に実名で週刊誌にNHKの内部告発もしていた。公職選挙法や裁判手続きも熟知していることが立花氏の強みであることもわかった。NHKを知り尽くしているからこそ「NHKをぶっ壊す」活動も効果的なのだ。

 タイトルにある「諸派党」というのは、現行の選挙制度と政党助成金制度を活用することで「NHKをぶっ壊す」というようなワンイッシューを掲げる諸派を束ねる戦略である。これは、規制政党に対抗する新勢力を作り出せるという「誰も考えつかなった秘策」である。これはすごい。NHK党に投票しよう。

 ただ、去年の都知事選で善戦した安野貴博氏が「チームみらい」という新党を立ち上げて参議院選挙に参戦することがわかり、先月号で安野氏の本を紹介した際には「参院選ではチームみらいに投票しよう」と書いてしまった。うーん、どっちにしよう。困った。 (守 一雄)

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