日垣 隆
『偽善系』『偽善系II』
文芸春秋社
学
生:先生が推薦していたこ
の本面白いですねえ。二冊と
も一気に読んでしまいました。
教授:
だろ。日垣氏は今一番
の買いだよ。どの本も取材が
徹底しているから、自分の論
説に自信がみなぎっている。
だからこそ、他人を批判でき
るんだ。
学
生:「批判」というよりほとん
どケンカを売っている感じです
けど。でもなんとなくウサンク
サイと思っていた人たちをやっ
つけてくれると痛快ですね。
教授:
そのウサンクサイやつの
ことを「偽善系」と呼んでいるわ
けだな。日垣氏が批判の対象
にしているのはいわゆる「専門
家」だ。政府機関やマスコミ、
評論家、学者などはそれぞれ
自分の専門とする領域で、専
門家であることを盾に権力的
にふるまう。よく知らない一般
の人々は「何かヘンだな」と思っ
ても、専門家には太刀打ちでき
ない。
学
生:たしかに、先生の言うこと
がヘンだと思っても、ボクたち学
生はなかなかそう言えないっす。
教授:しかし、日垣氏は「ヘンだ」
と思ったら、専門家に負けないく
らい徹底的に調べてみるのだ。
「専門家」を自称する人たちも、
意外とその底は浅い。
学
生:専門家が批判の対象なん
だとしたら、先生も気をつけない
と危ないですね。書評なんか引き
受けちゃって大丈夫ですか?
教授:
うむ、十分覚悟の上で臨ん
でいる。だから、データベースで
調べた日垣氏の本一九冊も全
部読んだんだ。
学
生:えーっ、書評するのにそこ
までやるんですかあ?
教授:
ま、日垣氏なら当然そうす
るだろう。もっとも、私の場合、実
はほとんどもう既に読んでいて、
新たに読んだのは二冊だけだっ
た。
学
生:なーんだ。でも、そんなふう
に手の内を見せちゃっていいんで
すか?
教授:
正攻法で臨むときには、隠
しごとしないという戦略の方がいい
んだ。長野県の田中知事と同じ
戦略さ。
学
生:そういえば、二冊目の第五章
が田中知事の誕生の裏話ですが、
この人が田中知事の担ぎ出しに関
わってたんですね。
教授:そう、日垣氏が長野市民だっ
てことにも気づいたかい?この二人
は今、ともに長野に住みながら、日
本全体いや世界全体を考えた仕事
をしているわけだ。痩せているか
太っているかの違いだけで、実は
二人はとてもよく似ていると思うよ。
(守 一雄)