北岡明佳
『トリック・アイズ』
株式会社カンゼン
 

教授  ね、君ちょっとこれ見
て。この赤とオレンジ色、同
じ色に見えるかい?

学生  え、だって、赤とオレ
ンジ色は違う色に決まってい
るのでは?でも、そんなこと
を聞くっていうことは、同じ
ってことですかあ?

教授  そう、実は同じ色なん
だ。信じられないだろう?

学生  じゃ、目の錯覚ってこ
とか。ということは、周りを
隠してこことここだけを比べ
られるようにすればいいんだ
から・・・・うわっ、ホント
だ。これはスゴーイ。

教授  な、スゴイだろ?目の
錯覚、つまり錯視は心理学の
教科書にもよく出てくるけど、
こんなに見事なのは僕も知ら
なかったよ。

学生  で、この本はこんなす
ごい錯視がたくさん載ってい
るんですか?

教授   そう、もっと見たい?

学生 見たい、見たい。

教授  たとえばこれ。ほら、
真ん中のところが動いて見え
るだろ?

学生  うわっ、ホントだ。不
思議ですねえ。あっ、こっち
のも動いて見えるぞ。

教授  この本の著者は立命館
大学の心理学の先生で、日本
でただ一人の錯視デザイナー
だ。錯視は昔から心理学者が
視覚の仕組みを知るために研
究をしてきた分野だけれど、
北岡先生はそれをさらにアー
トの世界にまで拡大した。科
学と芸術の両方のセンスを持
った新進気鋭の心理学者さ。

学生  なんか、「脳が活性化」
とも書いてありますね。

教授  うむ、確かにそう書い
てある。が、それは「脳がビ
ックリする」という程度の意
味だな。だって、動くはずが
ない絵が動いて見えたり、同
じ色がまったく違う色に見え
たりするんだからこれは脳も
驚くよ。科学も芸術もその根
本は「驚き」にある。

学生  でも、これどうやって
描いているんでしょうね。グ
ラフィックソフトとかを使っ
ているのかな。

教授  「描いている」という
よりも「描かせている」とい
う方が当たっているな。こう
いう絵を描くには、プログラ
ムを組んでコンピュータに描
かせるんだ。

学生  じゃ、難しいんですね。

教授   ところが、うれしいこ
とに簡単なものなら、ふつう
のパソコンとカラープリンタ
があれば誰でも錯視図形が描
けるらしいぞ。しかも、プリ
ンタも安いインクジェット型
の方が高いレーザー式のやつ
より適しているんだそうだ。

学生  よーし、じゃ、年賀状
作り用に去年買ったプリンタ
で早速やってみよーっと。

(守 一雄)