dohc2506

第38巻第9号                2025/6/1
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DOHC(年間百冊読書する会)MONTHLY

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毎月1日発行 発行責任者 守一雄
(kaz-mori@cc.tuat.ac.jp)
http://www.avis.ne.jp/~uriuri/kaz/dohc/dohchp-j.html


 今月7日で満74歳になります。男性の平均寿命の81歳まではまだ7年もあると思っていたら、「生活に支障なく生活ができる」という「健康寿命」は72歳くらいで、もう過ぎていることに気づきました。毎日、健康に過ごせていることはありがたいことです。

 今から60年以上も前に中学生だった頃、一緒に住んでいた祖父母よりも私の方が選挙で正しい判断ができると思っていました。その頃の祖父母が今の私くらいの年齢でしたから、私ももう選挙権を返上していいわけです。私と妻の分は小学生の孫たちに選挙権を譲りたいと思います。とは言っても、流石に小学生に選挙は無理かもしれません。そこで「デーメニ方式」です。これは人口学者のデーメニ (Paul Demeny) が提唱したもので、「0歳児から選挙権を与え、未成年のうちは親がその権利を代行する」というものです。この方式なら若い世代の意向が選挙結果に反映されやすくなるでしょうし、そうなれば政治家も若い世代向けの将来を見据えた政策をメインにするようになるでしょう。

 一方、高齢者の選挙権の廃止もセットで実施するのが望ましいと思うのですが、権利の剥奪を提唱するのは受け入れ難いようで、特定の学者の名前は見つかりませんでした。選挙権の剥奪は別の権利の付与と相殺することにすればいいわけで、私は年金の受給開始年齢(現行65歳)とセットにするのがいいと思います。「人生経験が豊富な高齢者の知識も重要だ」と考える人もいるかもしれませんが、まだ頭が働く高齢者はそうした知識を提供するだけで十分だと思っているはずです。(守 一雄)

【これは絶対面白い】

安野貴博
『1%の革命』

文藝春秋社 (¥1,760)

(c)文藝春秋社
 
   去年 (2024年) の都知事選挙に立候補し、まったくの無名候補だったにもかかわらず、東京都の有権者数の1%以上を獲得し、得票数5位になった1990年生まれの若者である。研究者仲間のSNSで安野氏の立候補を知り、密かに応援していたのだが、5位に入ったことで、選挙前には一度も取り上げなかったマスメディアにも注目されるようになった。東大工学部の有名なAI研究室である松尾研出身のAIエンジニアだが、起業家でもあり、SF作家でもあるという多才である。このDOHC月報でもAI起業家を描いた小説『松岡まどか、起業します』 (2025年3月号) を紹介済みだ。(デビュー作の『サーキット・スイッチャー』も面白かった。)

 この本は、都知事選挙でのマニフェストをまとめたものである。立候補が投票日の1ヶ月前だったにもかかわらず、これだけのマニフェストが作れたのは、ボランティアで安野氏をサポートした「チーム安野」との共同作業のおかげだと書かれているが、若い頭脳集団の結集とそれを可能にするAIテクノロジーの力の素晴らしさに感動する。書名にも示されているように、本当に1%の新しいアイディアを持った人たちが未来を変えられるのだという期待が持てる。

 都知事選は長野県民の私は有権者でなかったので投票できなかったが、来月の参議院議員選挙に向けて、安野氏は新党「チームみらい」を立ち上げ、自身も立候補することを宣言した。この本に書かれていることは東京都知事選挙のためのマニフェストだが、「デジタル民主主義で社会をアップデートする」(本書第6章)など社会システムをAIテクノロジーで改革していくという政策は国政選挙のマニフェストとしても通用する。参院選では「チームみらい」に投票しよう。 (守 一雄)

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