毎月1日発行 発行責任者 守一雄
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今年の夏は涼しくて、昔からの「信州の夏」という感じで過ごせました。今月はアメリカの女性人気ブロガーが書いた『射精責任』を紹介します。帯に「全米騒然」とあるように、アメリカでは話題沸騰だったとのことですが、私のアンテナに引っかかるのには3年もかかってしまいました。(守 一雄)
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| (c) 太田出版 |
最初は何を今更当たり前のことを言うのかと思って読み始めたのだが、この主張の根拠となる全部で28の提言を読んでいくと、本書の意義がわかる。アメリカでは妊娠中絶をめぐって、中絶を認めない「プロライフ派」と容認する「プロチョイス派」が対立しており、これが共和党と民主党の支持層とも重なって、国家レベルでの重要な争点となっている。女性の生き方についてのブロガーで多くのフォロワーを持つ人気インフルエンサーだったブレアさんはまず2018年に63件に及ぶ連続のツイートで本書の元となる主張を述べた。中絶の是非についての議論を妊娠後に始めるのではなく、まずその大元となる男性の無責任な射精を問題視するべきだというのである。妊娠がわかってから中絶するかどうかを論じるのではなく、望まない妊娠そのものを無くせばいいのである。「プロライフ派」と「プロチョイス派」の対立もない。
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巻末にある齋藤圭介氏による「解説」も本書の背景となったアメリカの妊娠中絶をめぐる歴史と現状を簡潔にまとめていて、本書の意義を確認するのに役立った。齋藤氏はさらに、編者として『日本の「射精責任」論』という本を2025年に出版している。この編書には沼崎一郎氏の1997年公刊の論考「〈孕ませる性〉の自己責任」が収録されていて、ブレアさんと同様の主張が日本では四半世紀も前になされていたことがわかる。蛇足ながら、本書各章の冒頭に赤黒の大きな活字で示している提言が原書ではどうなっているのだろうと思って調べてみたら、このスタイルは原書そのままのものだった。(守 一雄)